公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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8設立60周年によせて  公益財団法人軽金属奨学会設立60周年を心からお祝い申し上げます。私は奨学会、また東洋アルミニウム様には大変お世話になってきました。研究上の一番の思い出はその当時京都大学材料工学教室にもなかった最新のSEM-EPMAでIII-V族混晶半導体の組成分析をさせて頂いたことです。これが初めで一緒に研究した仲間が半導体分野で大いに活躍してくれています。このようなことを冒頭にいきなりお話しして大変恐縮ですが、当奨学会の長年にわたる事業の根幹にかかわるnoble spiritに共通するものを感じるからであります。 さて我が国を取り巻く軽金属産業は厳しさを増していますが、経産省の資料によりますと我が国のアルミ圧延業にはまだ優位性が認められる。それは合金設計力、シミュレーション技術、プロセス・オペレーション等の内部蓄積してきた技術力と、ユーザーからの品質納期等の高い要求、自動車メーカーなどとのコンカレント・エンジニアリグ体制が構築されていることが要因と考えられている。しかし軽金属産業全般の開発能力については産官学の研究体制の推進が課題であるとの指摘されているようです。 将来への解決の鍵となる研究開発の基礎的な能力向上には、大学での教育と研究が重要なことは論を待ちませんが、そのためにも大学の先生方が軽金属圧延品(板材、押出材)、電線、ダイカスト、鍛造、粉末等の各分野における技術開発の現状や従来の産業区分の枠を越えた新しい分野での展望等について討論ができるように奨学会が主導して定期的な場を持つようにしてはどうであろうか。何年かかるか確かではないにしても、その中から新しい創造的な芽がいくつも見出されるものと信じています。京都大学名誉教授長村 光造(軽金属奨学会評議員)  今年創立60周年を迎える財団法人軽金属奨学会(現公益財団法人軽金属奨学会)のこれまでの研究助成をはじめとする諸活動の実績に、まずは敬意を表したい。軽金属奨学会の設立の経緯を初めとして多年に亘る軽金属分野への貢献の詳細に小生が触れることができたのは、「財団法人軽金属奨学会設立50年の歩み」を頂いてからである。これを拝読して、改めて小山田裕吉氏の慧眼・先見性と実行力に感動すると共に、その遺志を受け継いで各種の事業を立案・実施されてきた歴代の理事長と理事諸兄およびそれを支えてきた各事務局長の努力に深い感銘を覚える次第である。そのお蔭をもって、この低金利の時代になっても当奨学会が研究支援を継続され、軽金属関係の研究者はこれまで多くの恩恵を被っている。 小生も研究費の乏しい助教授時代に研究補助金を交付して頂き、加えて課題研究に採択されて多額の研究資金を頂いたことがその後の研究の推進につながった。教育研究資金についても多年にわたり交付されて、各種アルミニウム合金の析出現象を初め、当該合金および銅合金の特性に及ぼす極微量不純物の影響や非鉄及び、鉄鋼材料の水素脆化などの各種研究の下支えをして頂いた。記して深甚の謝意を表したい。 1995年から奨学会の理事を、2008年からは評議員を務めているが、上記した御恩に十分報いることができたかどうか危惧している。 今後とも軽金属の研究者達への効果的な研究支援が継続されていく事を切に願う次第である。東京大学名誉教授菅野 幹宏(軽金属奨学会評議員)

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