公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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12■小山田裕吉の夢が動きだす 1954年(昭和29年)夏、東洋アルミニウム株式会社社長の小山田裕吉は、北米から帰国すると総務課長代理の上谷琢之(後の東洋アルミニウム専務取締役)を社長室に呼んでこう告げた。「アルミニウム・リミテッド(以下アルキャン)と話し合いの結果、東洋アルミニウムの会社設立25周年の記念事業として、アルミニウム業界の発展に寄与する財団を設立することが決まったんだ。ついては君に、財団法人を設立する仕事を担当してほしいんだがね」 上谷にとってはまさに寝耳に水、初めて聞く話だっただけに面食らった。「財団といいますと…」 小山田は、かねてよりあたためていた財団法人設立の構想を上谷に説明した。「日本の経済再建に軽金属工業、とりわけアルミニウムの果たす役割は大きいものがあり、輸出産業として大きく育てていかなければならない。先進国に追いつき、追い越すためには、根本的なアルミニウムに関する基礎研究や調査などをゆるがせにはできないはずだと、かねてより私は、軽金属ロール会などの会合で発言を繰り返してきたのだが…」 小山田はこの時期、戦後間もない1947年(昭和22年)に設立された軽金属圧延品の生産団体「軽金属ロール会」の理事長を務めていた。小山田はアルミ箔業界首位企業の東洋アルミニウムの経営 公益財団法人軽金属奨学会は、2015年(平成27年)1月に、設立60周年を迎える事ができました。60周年という節目にあたり本誌を編纂するのは、後世に向けて当財団の歴史を語り継いでもらいたいという思いと共に、更に多くの方々に当会の内容を知って頂き且つ有効に活用して頂きたいという思いがあったからです。 又、設立当時のことを知る関係者が年々減少し、当会の歴史を正確に記録しておくべきチャンスであると言う思いと共に、近年大学等において軽金属を教育・研究する専門の研究室・学科が減少しつつある中、軽金属の教育・研究を維持発展させていくにはどの様な方法があるのかと言う問題意識もありました。 幸い、設立当時に立ち会った理事会メンバーや事務局担当者の方々のご協力を頂戴することができ、当時の貴重な証言や生の声を収集することができました。 そこで本誌では、「第1編 60年の足跡と未来への歩み」として当会の歴史を紹介させて頂きます。 そして「第2編 設立60周年記念特別寄稿」として、過去に支援をさせて頂きました方々の成果報告、及び支援者の声等を紹介させて頂きます。 今後共、主に基礎研究の支援に重点を置き、活動を行っていく所存でございますので、本書を一読頂き当会のさらなるご活用を宜しくお願い致します。はじめに第1章 財団設立の経緯小山田裕吉

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