公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
5/102

3 公益財団法人軽金属奨学会の設立60周年、誠におめでとうございます。 軽金属奨学会は、昭和30年1月の設立当時より、時代の変化に応じて、軽金属に関する教育事業や研究助成事業を展開し、軽金属工学の発展に貢献されており、今後も新たなニーズを踏まえた活動に益々ご尽力頂けることをご期待申し上げます。 最近の軽金属の動向としましては、自動車ボディーへのアルミニウム材適用の動きが活発化していることが挙げられます。その背景の一つとして、米国の燃費規制であるCAFÉ規制の強化が挙げられ、2020年には2015年比で約1.5倍の燃費向上(企業平均)が米国で販売される自動車に要求されます。このような動きの中、自動車の軽量化に資する素材として、フードやボディー等へのアルミニウム材の適用が進んでおり、自動車向けアルミニウム材の市場規模は2025年には2012年比で約10倍に拡大すると予想されております。 軽金属奨学会では、30年以上に渡り、若手研究者を対象として、従来の軽金属材料と比較して、より高機能で高い省エネルギー性を有する軽金属材料の開発を目指した研究に対する助成事業を実施されていると伺っております。軽金属奨学会で取り組まれている小山田記念賞の表彰対象の研究を拝見いたしましても、自動車をはじめとした輸送機器分野のニーズにマッチした要素技術の研究が多く実施されており、このような軽金属奨学会の取り組みは、成熟した軽金属分野に対しさらに新しい風を送り込み、軽金属産業のさらなる発展に繋がっていくものと思います。 経済産業省でも、2013年から革新的新構造材料等技術開発として、アルミニウム材、チタン材、マグネシウム材、鋼材及び炭素繊維強化樹脂等の構造材料そのものの高性能化に係る技術開発を一体的に推進しているところです。この中で、アルミニウム材については、高強度・高靱性を有するアルミニウム合金の開発を行っており、軽金属奨学会で支援されたアルミニウム材料の加工技術や制御技術が、重要な要素技術として活用されています。経済産業省といたしましても事業環境の整備、研究開発事業支援、海外展開支援等を通じ、軽金属産業のさらなる躍進に向け、今後も、皆様と心を一つにして取り組んでまいりたいと思います。 最後になりましたが、公益財団法人軽金属奨学会が、今後も日本の軽金属に関する技術力や人材育成を支え、軽金属工学の未来を支える団体として、更なる御発展を遂げられますことを、心より祈念いたします。経済産業省 製造産業局 非鉄金属課長井上 幹邦

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る