52上昇し、全伸び(破断伸び)も増加する。5回転後の引張強度は800MPaを超えた状態にある。図15(a)に引張強度、図15(b)に均一伸びと全伸びを相当ひずみ(回転数)の関数としてプロットする。引張強度が800MPaを超えた状態で全伸びが20%を超えているのが特徴的であり、また全もSAEDパタンー中の矢印で示す回折波はAl2Cu(θ)相に相当し、明視野像や暗視野像中に示すように粒子サイズの成長が確認される。 図13には、X線プロファイルよりWilliamson–Hall法で求めた転位密度の変化と併せて、結晶粒径の時効に伴う変化をプロットする[15]。転位密度は時効とともに減少しており、Al-4mass%CuではA6061合金と違って結晶粒径が大きくなることから、図7に示すような析出による硬化の影響は小さくなったと考えられる。 HPT加工したAl-4mass%Cu合金より引張試験片を切り出し室温で引張試験したときの応力-ひずみ曲線を図14に示す[15]。ゲージ部の中心はHPT加工した円盤状試料中心から2mm離れた位置となっている。図14では、比較のために溶体化材の結果も示す。回転数が増えると引張強度が図15Al-4mass%Cu合金のHPT材(室温、6GPa, 0.5, 1, 5回転)を引張試験した結果で、(a)引張強度、(b)均一伸びと全伸びの相当ひずみ(回転数)依存性。[15]図13HPTで6GPaのもと5回転したAl-4mass%Cu合金を353Kで時効したときの硬さ、結晶粒径、転位密度の変化。[15]図14HPTで6GPaのもと0.5, 1, 5回転したAl-4mass%Cu合金を室温で引張試験したときの応力-ひずみ曲線。溶体化材(ST)の結果も含む。[15]図16HPTで6GPaのもと5回転したAl-4mass%Cu合金を353Kで5min, 20min, 1day時効したときの硬さ、結晶粒径、転位密度の変化。 [15]
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