66ジングシートのクラッド率((皮材片側の板厚/総板厚)×100)は、8〜12%程度である。 ブレージングシートの製造工程は、通常のアルミニウム合金板の製造と比較すると極めて多工程かつ複雑である。図1(a)にクラッド材の一般的な製造工程を示す。これは、芯材、皮材それぞれの板の製造工程を示す。これは、芯材、皮材それぞれの板の製造工程を、熱間圧延を繰り返す製造工程からなっている。まず、DC鋳造により、幅600mm、厚さ200mm程度の各合金のスラブを作製する。芯材用のスクラップは表面研削後、洗浄される。皮材用のスラブは表面研削後、熱間や冷間圧延の繰返しにより所定の板厚に整えられ、板表面に付着した潤滑剤の洗浄を行う。その後、芯材用、皮材用それぞれのアルミニウム合金を重ね合せ、仮付溶接を行い、熱間圧延を何度も繰り返し行うことで接合する。最後に目標の板厚まで冷間圧延し、所定の厚さのクラッド材とする。このような方法は熱間圧延接合法と呼ばれている。非常に多くの複雑な工程を必要とし、また歩留まりも低い。 そこで、このような複雑かつ多くの工程を削減するため、溶融金属から3層アルミニウム合金クラッドは避けられないクラッド(接合)界面における反応や合金成分の拡散が防止でき、分散粒子の粗大化も防止できる。熱交換器用ブレージングシート用として知られているA4045/A3003/A4045クラッド材について比較試験を行ったところ、本プロセスにより大幅な省工程かつ省エネルギーを実現しながら、既存の熱延法と比肩しうるクラッド材が製造できることが明らかとなった。以下、その成果について紹介する。 アルミニウム合金板と異種金属や合金板を重ねたり、あるいは挟んで層状構造にしたものはアルミニウム合金クラッド材と呼ばれ、単一合金板だけでは実現できない特性や付加価値を有している。代表的なアルミニウム合金クラッド材として、航空機の外板(ジュラルミンとして知られる高強度2024合金板の表層に耐食性のよい純アルミニウムをクラッド)や、ラジエータと呼ばれる自動車用熱交換器に使われているブレージングシートが挙げられる。ブレージングシートの芯材には、高融点で強度と耐食性を有する3xxx系合金(Al-Mn系合金)が、皮材には低融点で溶解時の流動性を考慮し、4xxx系合金(Al-Si系合金)が用いられる。一般的なブレー図1 クラッド材(ブレージングシート)の製造方法の比較 (a) 熱間圧延接合法,(b)タンデム式縦型高速双ロールキャスト法
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