公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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67湯を第2双ロールのノズル内に注湯する。これはクラッド率が所定の12%になるよう、芯材の板厚を調節するための操作である。芯材は第2双ロール上で形成された凝固層に挟まれながらロール間隙を通過し、その後、厚みを増した芯材は第3双ロール間隙に向かって降下する。心材先端がロール間隙を通過するタイミングで第3双ロールのノズル内に4045合金溶湯を注湯する。芯材は、第3双ロール上で形成された凝固殻(皮材:4045合金)に挟まれながらロール間を通過し、4045/3003/4045合金クラッド材となる。⑵ 冷間圧延ならびに熱処理 図3に示すように、熱延法と双ロール法で作製し材を1工程で製造可能な手法の開発を行った(図1(b))。これが複数の縦型高速双ロールキャスターを垂直方向に並べ、溶融金属からクラッド材を1工程で製造する「タンデム式縦型高速双ロールキャスト法」である。ここでは、「タンデム式縦型高速双ロールキャスト法(以下、双ロール法)」ならびに汎用的な「熱間圧延接合法(以下、熱延法)」の両方で同じクラッド材を作製し、それらのミクロ組織や熱処理による力学的性質の変化について比較検討した。これにより、本装置で作製したクラッド材の特性と利点について明確にし、新しい省工程・省エネエネルギークラッド材製造プロセスとしての有効性を明らかにした。3.4.2 研究・開発の概要⑴ クラッド材の作製 双ロール法、熱延法の2種類の方法でクラッド率約12%のクラッド材を作製した。熱延法ではラボスケールで鋳造したDC鋳塊の表面を面削して作製した板厚43mmの3003合金板を、同じくDC鋳塊を480℃で加熱後、板厚50mmから板厚7.0mmまで熱間圧延して作製した4045合金板2枚で挟み、総板厚57mmの板を作製した。この板を460℃で加熱後、熱間圧延を10〜20パス繰り返すことにより接合させ、板厚6.0mmのクラッド材を作製した。 双ロール法の概略図を図2に示す。ロールは直径200mmの純銅製で、ロール幅は第1、第2、第3双ロールで40、45、50mmと順に広くしている。鋳造条件を表1に示す。凝固距離は順に60、80、80mm、および注湯温度は670、670、610℃とした。ロール周速は40m/minである。まず、芯材の溶湯を第1双ロールのノズル内に注湯する。両ロール上で凝固殻が成長し、これらがロール間隙で合流してばねを押し広げながら芯材となり、第2双ロール間隙に向かって降下する。芯材の先端が第2双ロール間隙を通過するタイミングで第1双ロールと同じ合金溶図2 タンデム式縦型高速双ロールキャスト法の概念図表1 鋳造条件

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