68た板厚約6.0mmのクラッド材を、板厚0.17mmまで冷間圧延した。その後、400℃で2h焼鈍し、さらに板厚0.1mmまで冷間圧延した。最後にろう付を模擬した600℃で3minの加熱(ろう付加熱)を行った。⑶ 板厚6mmの熱延材のミクロ組織 熱延材はDC鋳造後の熱間・冷間圧延のために芯材、皮材ともに加工組織を呈する。熱延材の皮材(4045合金)の共晶Si粒子は、粒子径が数μm〜10μmで、母相中に均一に分布していた。芯材(3003合金)のAl-Mn系化合物は圧延方向に細長く伸びた形状、またはこれが分断された形状を有し、圧延方向の長さは数μm〜数10μmであった。⑷ 板厚6mmの双ロール材のミクロ組織 最初に凝固する板表面の凝固組織は非常に微細で、板厚中央部に向かい徐々に粗大な組織となり、板厚中央部には粒状晶帯が観察される。双ロール材には4つの接合界面が観察される。第1双ロールで凝固した領域と第2双ロールで凝固した領域の間には接合界面が存在する。この接合界面はas-polishedの状態では観察されないが、凝固組織の細かさが違うため、腐食すると第1双ロールで鋳造された板表面のチル層領域が暗いコントラストを呈するので、識別が可能である。3003合金板と4045合金板の接合界面も明瞭に区別でき、接合界面が非常に平滑であることがわかる。⑸ 接合界面組織 芯材と皮材の接合界面近傍の拡大写真を図4に示す。界面には、共晶Si粒子、Al-Mn系の分散相のいずれも観察されない厚さ1〜2μmの層状領域が観察された。図5はこの領域をさらに拡大したSEM-BEI像である。ここでは黒色のコントラストがα-Al母相で、皮材中の白色の粒子が共晶Si粒子、芯材中の細かい白色の粒子がAl-Mn系の分散相である。接合界面には共晶Si粒子、Al-Mn系の分散相のいずれも観察されない厚さ1〜2μmの層状領域が観察され、また芯材と皮材のα-Al母相のコントラストが異なる。図6は層状領域を拡大した光学顕微鏡組織であるが、層状領域は芯材の結晶粒ごとで途切れていることがわかる。 層状領域が接合前の芯材表面に元々存在したか確認するために、第1ロールのみを用いて3003合金単層板を作製し、板表面近傍の断面組織観察を行った結果を図7に示す。この場合はAl-Mn系分散相を含む結晶粒が表面まで観察され、層図3 冷間圧延ならびに熱処理条件図4 芯材/皮材の接合界面近傍ミクロ組織の光学顕微鏡像図5 芯材/皮材の接合界面近傍ミクロ組織のSEM-BEI像
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