741.日本のアルミニウム産業の実態1.1 製錬業の終焉 家庭用から産業用まで今や欠くことのできない素材であるアルミニウムを提供する産業は、川上のボーキサイト鉱山の開発から川下のアルミニウム地金の圧延加工まで多岐にわたる。 日本のアルミニウム産業は、以前は川上から川下までの事業すべてに関与していたが、石油危機による電力価格の高騰を契機に、製錬業からは撤退を余儀なくされ、最後まで残っていた日本軽金属の蒲原製錬所も2014年(平成26年)春に閉鎖となり、今や日本はアルミニウム地金の100%輸入国となった。従って、日本のアルミニウム産業と言えば、輸入新地金或いは再生地金を圧延、或いは鋳鍛造し、素材や部品等に加工する業態を指す。 我が国初の国産アルミニウムは、1934年(昭和9年)昭和電工の大町工場で誕生した。その後、住友化学、日本軽金属などが製錬事業に乗り出し、一時期は国内14工場で設備能力としては、年164万トンもあった。また、1973年(昭和48年)から1980年(昭和55年)にかけては、西側諸国でシェア第2位を誇った時代があったとは今の我々には想像できない。 日本のアルミニウム製錬業が終焉を迎えたのは、時代の流れであり、その要因はひとつに、貿易の自由化の進展、それからプラザ合意を契機とした円 世界のアルミニウム産業の動向一般社団法人 日本アルミニウム協会専務理事 村山 拓己設立60周年記念特別寄稿西側世界のアルミニウム地金生産量推移【1946-1985】
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