公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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84シオがその典型的な例であろう。ダンロップがキャラウェイとの独占販売契約の期限切れを迎えて、「ビッグ・バーサ」に代わる商品開発に取り組んだが、高反発の飛距離競争への深入りを断念して、開発に成功したのが、「XXIO」(ゼクシオ)である。何がクロススキルかと言えば、住友ゴムのタイヤ事業で培われた車の騒音対策としての音の数値化のノウハウのおかげで打球音の心地よさを追求できたわけである。つまり、感性の数値化に成功し、ゼクシオが誕生した。ちなみに、「XXIO」のXXIは21世紀のことで、Oは「突き進めということでgo on」或いはゴルフボールの形、王者の意味が込められているとのこと。とにかく、クロス・スキル型の連携でソフトなフィーリングをそのまま残し、高く残響の長い爽快な「キーン」という心地よい打球音、ゼクシオ・サウンドが出来上がったという話である。ちなみに「XXIO」は改良を重ねた今の8代目は高反発、高打ち出しに低スピンを実現し、連続して店頭売り上げNo.1をキープしているお化けクラブである。3.3 リサイクルの深化 アルミニウムは電気の缶詰と言われるほど、ボーキサイトから新地金をつくる過程で多大の電力を必要とするが、リサイクルすれば必要なエネルギーはその2〜3%ですみ、地球規模での低炭素社会構築に大きく貢献するものである。ノベリスはいち早く、会社の方針として2020年には同社の提供するアルミニウムの80%はリサイクル材を使用すると発表し、世界に3カ所のリサイクル工場を建設して、再生地金の流れを大きく変えようとしている。 現在のリサイクルの主流は、展伸材から鋳物材へとカスケード型のリサイクルであり、これは真の意味での資源の有効活用とはなっていない。これを解決するのが、溶解プロセスを経ずに固体のままスクラップを選別する技術であり、X線を使ったサッシスクラップの選別については、NEDOのプロジェクトとして、平成22年度から3カ年にわたり、実用化研究が実施された。研究開発は、目的を達成し、X線を使ったソーターは既に実用化され、サッシからサッシへの水平リサイクルは現実のものとなった。ノベリスなどもこの技術を既に利用しているものと思われる。 しかし、このX線ソーターには、質量の軽いケイ素、アルミニウム、マグネシウムなどの選別ができないという弱みがある。サッシの選別では、質量の重い銅や亜鉛を含んでいる2000系や7000系をはねることができれば、5000系と6000系が選別されずに混在していても問題はないが、究極のリサイクルを可能にするには、合金系別に分けるため軽い元素でも選別できることが必要となってくる。それを解アルミニウム・リサイクルの新プロセス技術開発平成21年度 NEDO事前研究、平成22年度〜24年度NEDO実用化開発研究、平成25年6月のNEDO「事後報告会」で平成24年度終了事業の中で最高評価

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