公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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91 近年、放射光を使った三次元可視化技術の発展は著しく、従来、断面観察に基づいて推察しなければならなかった材料内部の事象を、その三次元可視化技術によって直接的に時間を追って観察し、その実際を定量的に調べることができるようになっている。軽金属,第64巻11号(2014),557-563では、X線CTと3DXRDの2つの放射光計測手法を用いて、Al-Pb合金の局所変形ひずみおよび結晶方位を測定した。その実測局所ひずみを用いて組織変化シミュレーションを行うことで、変形集合組織形成における局所ひずみの影響を検討した。シミュレーションは実験と同様の結晶方位回転、結晶方位分散過程を再現し、実験観察とモデリングを組合せた解析手法がミクロ組織形成メカニズムの理解に大きく寄与できることを示唆した。教育研究資金・研究補助金によるご支援に深く感謝いたします。放射光三次元計測に基づく 変形集合組織予測豊橋技術科学大学 准教授小林 正和 2014年より継続的に軽金属奨学会研究補助金を支給いただき、消耗品の購入と国内学会の参加費に使用させていただいております。本研究ではMg-TM(TM=Ni,Cu)-Y合金に生成する長周期相を強化因子とした耐熱マグネシウム合金開発を行うことを目的としていますが、現在では、これらの状態図が明らかにされていないため、まず、長周期相の生成範囲とその構造を明らかにし、実験的に状態図を作成しながら合金開発を行っています。この間の研究期間で長周期相が単相で生成する組成が明らかになりました。図1にMg-Ni-Y合金に生成した10H型の長周期相のHAADF-STEM像を示します。このように原子レベルでの濃縮が特徴的な構造です。試料作製からTEM観察までが必要な地道な研究ですので、継続的な補助は大変ありがたいものであります。この場を借りてお礼申し上げます。継続的な軽金属奨学会研究補助金 支給への感謝千葉大学 准教授糸井 貴臣図1三次元計測技術の進歩により可能となった引張変形集合組織形成のシミュレーション[軽金属,64(2014),557]図1Mg-Ni-Y合金に生成した10H型の 長周期相のHAADF-STEM像。

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