奨学生インタビュー

群馬県立中央中等教育学校卒業後、東北大学工学部材料科学総合学科に入学。積層造形法に利用されるチタン合金粉末の粉末酸化に関して研究を行っており、低炭素社会実現に貢献できるよう日々努力しています。趣味は旅行やフットサルです。

奨学生応募の動機は?

 博士課程進学は修士課程入学時から視野に入れていました。研究活動を進めるにつれ、自身で試行錯誤しながら課題を解決していく研究の面白みを感じるとともに、筆頭著者の論文が学術誌に掲載された際には自身の研究成果が社会に還元されたことを実感でき、これからもこのような学術研究を継続してきたいと思いました。しかし、経済的な理由から博士課程進学を躊躇っていました。その際、指導教員から本奨学金を紹介していただき、修士2年次から学費や研究費補助をいただける点で非常に魅力を感じ、応募に至りました。
 私は本奨学生としての研究活動を、自身の専門知識や実験技能を常日頃から高めながら、社会課題や研究課題に対して独創的で新規性の高い手法を提案し、軽金属分野全体の発展に大きく寄与できるような研究者になるための大切な一歩として位置づけたいと考えています。将来はアカデミックポストを目標とし、社会に応用し得る革新的な発見のために日々研究に精励していく所存です。

研究内容を教えてください。

 チタン合金は高い比強度や耐食性、優れた生体適合性などから航空宇宙分野や医療分野など幅広い産業で利用されています。近年、部品の軽量化やカスタマイズ化による省エネルギーかつ省資源化が求められていることから、積層造形法が注目されており、中でも微細組織と複雑構造を両立する部品製造が可能なレーザ粉末床溶融結合法に注目が集まっています。原料粉末には適切な粒度分布と流動性等の粉末特性が要求されるため高コスト化が生じていることから、原料粉末の繰り返し利用による低コスト化が重要となりますが、粉末はプロセス中に酸化されることが報告されています。そのため私は、粉末に独自の酸化処理を施すことにより、粉末酸化が粉末流動性及び造形体品質に及ぼす影響因子の解明に関する研究を行っています。粉末酸化の影響を解明することにより、チタン合金粉末のリサイクルへの指針や高性能粉末の開発が可能となるため、低コスト化や省エネルギー化の促進に寄与するとともに更なる高品質造形体の開発につながります。本研究を通じて低炭素社会実現に貢献できるよう、日々研究に取り組んでいます。